認知症と生きる 熊本の現場から

(35)多様な病像<15>脳血管症  生活習慣病の予防が大切

脳卒中について記した藤岡正導氏の著書

 済生会みすみ病院(宇城市)の藤岡正導[しょうどう]院長は昨年8月、八代市の明泉寺で認知症について話した。ここは藤岡院長の実家で、夜の御堂に集まった多くは旧知の仲。熱心に聞き入る様子に、「肥満や高血圧、糖尿病は認知症の原因になる。つまり生活習慣病にならないことが、認知症予防なんですよ」と説明した。


 脳血管性認知症は、発症や進行を防げる認知症の代表格。ポイントは脳卒中予防で、その原因となる高血圧や糖尿病を防いだり、うまくコントロールしたりすることが大切だ。


 認知症を発症しやすいのは、糸のように細い血管が詰まって、小さな脳梗塞(ラクナ梗塞)が多発する状態。日本人に多い。さらに脳血管性認知症は、アルツハイマー病に次いで多い認知症の原因疾患だ。「しかし、脳卒中と認知症の関係を知る人は少ない」と藤岡院長。


 寺での講演では、こんな話もあった。海外の研究によると、アルツハイマー病とみられる脳の変化があっても、実際には認知症の症状が出ないケースがある。ところが、同じ脳の状態で脳梗塞を併発した大半は、認知症の症状を来すという内容。ここでも脳卒中予防が鍵を握る。


 症状が多様な脳血管性認知症だが、代表的な症状に「意欲の低下」がある。例えば、口やかましかった人がおとなしくなったり、熱心だった趣味に関心が向かなかったり...。家族ら身近な人でも気付きにくく、見過ごされたまま脳卒中の再発を繰り返せば重症化は避けられない。


 一般的には「予防できない」とみられている認知症。脳卒中との関連性を「超高齢社会の今、もっと認識を深める必要がある」と、藤岡院長は警鐘を鳴らす。(小多崇)

 

(熊本日日新聞 2012年2月4日朝刊掲載)

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