成人の気管支ぜんそく 吸入ステロイドで自己管理

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パウダー式、エアゾール式などさまざまなタイプがある吸入ステロイド薬と、右後ろ二つが気管支拡張薬との配合薬

 以前は自己管理が難しかった成人の気管支ぜんそく。副作用が少なく長期に使いやすい吸入ステロイド薬の普及で、死亡者数は年間2500人を割り15年前の3分の1に激減した。熊本中央病院(熊本市田井島1丁目)の吉永健副院長は「ぜんそく治療は発作を起こさないことが重要。症状が出ないときも吸入ステロイド薬などを定期的に使って予防して」と普段の自己管理の大切さを説く。

 

 ぜんそくは遺伝的体質と環境要因が合わさって発病する。小児ぜんそくはアレルギー要因が主で、成長とともに治ることが多い。成人は約半数がダニ、ほこり、花粉などのアレルギー要因、残りの半数は原因不明。成人発症型のものは慢性化、重症化しやすいという。有病率は全体で5%、成人は3~4%。


 薬物治療が主体で、(1)予防維持薬(2)対症救急薬に大別できる。(1)には吸入ステロイド薬、ステロイド内服薬・注射、徐放性テオフィリン製剤、長時間作動型β2刺激薬、抗アレルギー薬など。(2)には短時間作動型β2刺激薬、ステロイド内服薬・注射、抗コリン薬、短時間作動型テオフィリンなどがある。


 「重症度やコントロールの良しあしに応じて、薬の種類や量を調整するのが治療のポイント。特に、将来の発作を起こさせないよう予防に力を注ぎます」と同副院長。


 予防薬で最も有効とされるのが吸入ステロイド薬だ。優れた抗炎症作用があり、毎日定期的に吸入する。パウダー式とエアゾール式がある。ステロイド薬は内服や注射で長期に大量使用すると、むくみ、肥満、糖尿病の悪化、骨粗しょう症などの副作用が心配だが、吸入は気道の局所のみに作用するため、全身の副作用はほとんど見られない。


 しかし、効果が出るのに3日ほどかかるため、途中で使用をやめてしまう患者も少なくない。最近は、効果が早く出る気管支拡張薬と吸入ステロイド薬との配合剤が発売され、使いやすくなった。1剤で気道の炎症、狭窄[きょうさく]の両方に効き、1日目から呼吸機能がかなり改善されるという。


 「吸入ステロイド薬は毎日規則的に使用することで気道の炎症を抑えるもの。症状が良くなっても継続することが大事。少し良くなったからといって吸入をやめると、元の状態に戻り発作を繰り返す恐れがあります」


 予防効果を高めるためには、患者教育が欠かせない。ダニやハウスダストがアレルゲン(原因物質)ならカーペットを敷かない、布団を干して掃除機をかけるなどの注意。ペットの毛などがアレルゲンなら飼わないか接触を避ける。たばこは吸入ステロイドの効果を薄めるので禁煙するなど、環境を整えることも大切だ。


 また、どういう時に発作が起こりやすいか、呼吸機能を自分で計れるピークフローメーターの値などを日誌に記録するのも予防に効果があるという。


 「予防の大切さを教えるのが医師の務め。発作を繰り返すと、気道が線維化して元に戻らなくなります。発作治療薬を使いすぎると効果が薄れ、使用量が増えて副作用が心配です。ぜんそくは、早く見つけて早く教育してコントロールを良くすれば、ずっと元気に暮らせますよ」(坂本収典)

 

●ぜんそくの診断 症状と呼吸機能検査で判断できる。症状の特徴は、(1)反復する喘鳴[ぜんめい](ゼーゼー)発作(2)夜間、明け方の強いせき(3)運動後のせきや喘鳴(4)アレルゲンや汚染物質などの吸入後にせきや喘鳴(5)風邪をひいたときに胸部症状が出て回復に10日以上かかる、など。呼吸機能検査では、健常人は力いっぱい息を吐くと最初の1秒でほとんど出てしまうが、患者はじわじわしか出ない。気管支拡張剤吸入後に再度行い改善すれば、ぜんそくと診断がつく。

 

(熊本日日新聞 2010年7月16日朝刊掲載)

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