失明に至る加齢黄斑変性症 新療法で視力改善関連カテゴリ >> 眼
米国では中高年の社会的失明(中心視力が失われ社会生活に重大な支障を来す)原因のトップである加齢黄斑変性[かれいおうはんへんせい]症。日本ではまだ知名度が低いが、高齢化や生活の欧米化の影響で確実に患者が増えている。従来の治療は視力低下を遅らせるのが精いっぱいだったが、国内で最近始まった硝子体内注射療法は視力の改善効果が初めて認められた。
加齢黄斑変性症は、目の網膜の中心部にある黄斑が年を取るに連れて異常を来し視力が低下する病気。五十歳ごろから増える。二つの型がある。加齢によって徐々に黄斑が萎縮[いしゅく]する型と、黄斑の外側の脈絡膜[みゃくらくまく]から異常な新生血管が生えて出血やむくみを起こす滲出[しんしゅつ]型。日本人には滲出型が多く、五十歳以上の1%以上がかかっているという研究もある。特に黄斑の中心部にある中心窩[ちゅうしんか]下に新生血管ができると中心視力が急激に低下しやすい。
従来の治療は、新生血管が中心窩下に至っていない場合は、新生血管をレーザー光で焼き切る光凝固。中心窩下に伸びている場合は、光に反応する薬を体内に注射し病変部に弱いレーザーを当て薬を活性化する光線力学的療法が主だが、いずれも視力維持を目標としていた。
新しい硝子体内注射療法は、新生血管の成長を促すタンパク質VEGFの働きを抑える薬(ルセンティス=一般名ラニビズマブ)を白目の部分から眼球の中心にある硝子体内に注射する。一カ月おきに三回注射し、後は様子を見ながら一カ月以上空け必要に応じて追加する。
患者約四十人を対象にした臨床試験では、月一回注射で一年後も全員が視力を維持。特殊な検査表で見える文字数が増えており、視力改善が認められた。
VEGFの働きを抑える薬は昨年もう一剤承認されており、視力低下を抑える効果は確認されていた。
三月に新薬の硝子体内注射療法を始めた熊本市西唐人町の出田眼科病院(出田隆一院長)では、既に約十人に実施。「長期にわたる効果や副作用は臨床試験だけでは分からない。これから慎重に効果を見極めていきたい。しかし、患者さんにとっては視力改善が認められた初の治療なので期待は大きい」と同院長。
副作用は、臨床試験では八十八例中二十一例(23・9%)の報告があった。眼圧上昇八例、視力低下三例、眼痛三例、網膜出血二例など。出田院長は「実際の医療では感染が一番怖い。一回の注射で0・16%、毎月一年間注射を続けた場合1・3%という報告もある。眼内炎を起こせば完全失明に至る恐れもあるので、これをどう評価するか。患者さんへの十分な説明と納得が欠かせない」と話す。
注射後三日前後は感染の恐れがあるので、目の痛みや充血、目やに、光への過敏、飛蚊[ひぶん]症、視力低下などの症状があれば、すぐに受診することが大事という。また、片方の目に症状が現れたら、もう一方の目も発病する恐れがあるので定期的な検査が必要だ。自己チェック用のチャートもある。
出田院長は「視力改善といっても完治は難しいので、早期発見して治療することが何より大切。ぼやける、ゆがむなどの症状を感じたら早く眼科を受診してほしい」と呼び掛けている。(坂本収典)
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| キーワード | 加齢黄斑変性(AMD) |
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