増える「せきぜんそく」 長引くせき、放置は禁物 早期治療で悪化の予防を

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 銀行に勤めるA子さん(30)。風邪をきっかけに出始めたせきが、なかなか止まらない。典型的なぜんそくの特徴であるぜーぜー、ひゅーひゅーという「喘鳴[ぜんめい]」や呼吸困難は無く、たんもあまり出ない。だが、夜間から早朝にひどくせき込んで目が覚めてしまう。自宅近くの医院でせき止めを処方されたが、一向に治る気配がない。困り果てて受診した病院の呼吸器内科で、初めてせきぜんそくと診断された。

認知度向上

 「せきぜんそくは一九七九年に提唱された概念で、日本でもようやくこの十年ぐらいで専門医以外の医師にも浸透してきた。昔は診断がつかず、二年間も風邪と言われ続けるようなケースもあった」と昭和大医学部の足立満教授は解説する。

 国内の患者数は不明だが、多くの専門医らが増加を指摘。医療現場での認知度向上も手伝って、せきぜんそくとの診断は確実に増えている。

診断基準

 足立教授によると、せきぜんそくの発症には典型的なぜんそくと同様、ダニやハウスダストといった抗原(アレルゲン)に対するアレルギー反応が関与しているとみられるが、詳しい仕組みは分かっていない。気道の過敏性や炎症もぜんそくと似ているが、その程度はぜんそくに比べて弱く、呼吸機能もあまり低下しないという。

 (1)喘鳴を伴わないせきが八週間以上持続(2)気管支拡張薬が症状の改善に有効などの基準を満たした場合、せきぜんそくと診断される。

 慢性のせきを引き起こす病気は多いが、日本で最も高頻度なのはせきぜんそくだ。二〇〇四年から〇六年にかけて、喘鳴や呼吸困難を伴わず、八週間以上続くせきを訴えて京都大呼吸器内科を受診した患者のうち、胸のエックス線写真などで異常が認められなかった百六十五人の原因疾患を調べた結果でも、せきぜんそくは47%を占めた。

吸入ステロイド

 エックス線写真は、肺がんや結核などと鑑別するのが目的。「鑑別は極めて重要。十分な問診、エックス線、血液やたんの検査、気管支拡張薬の有効性確認などを同時進行させて診断する必要がある」と足立教授。

 診断が確定すれば、治療は典型的なぜんそくと一緒だ。気道の炎症を抑える吸入ステロイドと気管支拡張薬の併用が基本で、通常なら三日~一週間で症状が改善する。

 また、せきぜんそくの約30%は典型的なぜんそくに移行するとされ、この点で「ぜんそくの前段階」とも言われるが、早期に適切な治療を開始することで移行の確率を下げることが可能という。

 今後も患者は増えるのか? 「アレルゲンの増加や大気汚染など、ぜんそくと同じ背景があると考えれば、絶対数はともかく、有病率が減ることは決してないだろう」と足立教授はみている。 

(熊本日日新聞2009年2月20日付朝刊)
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